「サツコイ~悠久なる恋の歌~」レビュー

こんばんは。

だいぶ間隔が空いてしまいましたが、今回はサツコイ~悠久なる恋の歌~のレビューをお届けします。では、続きにて。

【製品名】サツコイ~悠久なる恋の歌~
【メーカー】ALcotハニカム(http://www.h-comb.biz/)
【対応OS】Windows Vista/7/8(管理人のWindows 8.1 Enterprise with Update x64, Japaneseでも起動。ただし無保証)
【ディスクレス起動の可否】
【修正パッチ】あり。約1GB近くとサイズはかなり大きい。
【シナリオ】
Getchu.comの商品紹介ページを参照のこと。(http://www.getchu.com/soft.phtml?id=810572&gc=gc)

ALcot『サツコイ~悠久なる恋の歌~』応援中!

※以下、本文中全て敬称を省略します。
※ネタバレを豊富に含んでいますので、あらかじめご容赦下さい。

【シナリオ】
<一言感想>
伝奇モノの皮を被った、「妹の兄離れ」「妹の成長」のストーリー。

<本論>
このゲームは最初は新田瑠理・川嶋直のいずれかのルートに進まなければならず、両方を読了の後に白波瀬悠のシナリオが読めるような構成になっています(ちょうど、リアル妹がいる大泉くんのばあい等と酷似した構成となっている)。
瑠璃・直のルートはいずれも第2章とされ、悠のルートが最終章と位置づけられているわけで、テーマは明らかに悠の側にあり、極端な言い方をすれば瑠璃・直のルートは通過点に過ぎません。その為に、瑠璃・直のルートは少し唐突に終わる印象を受ける場合もあり得るでしょう。
実際、瑠璃のルートでは養父である「加納さん」とは言葉を交わすことも出来ず、母親のイヅナとのわだかまりも解消できないままとなっており、直のルートでも直はイズミに依存し、それを断ち切れないままのようなエンディングとも取れるのに比して、悠のルートでは「加納さん」に自ら決定して生きることを諭され、悠は否応なく独り立ちするのです。
自ら決定して生きること―、このテーマは悠のルートで2回異口同音に現れます。先述の「加納さん」と、相羽美月(相羽司の妹)の発言によるものですが、これはこのシナリオが自ら決定して生きていくこと延いては独り立ちしていくことを中心に据えていることの証左であると思われます。
そうであるなれば、悠は駄妹でなければならないのです。一人では学校にもいかず、閉じこもり、ネット弁慶であり、近親者である実の兄に恋慕の情を抱く、そんな「駄目な妹」が、特に兄とのふれあいを通じて成長して独り立ちしていくという流れになっているのです。因みに、ALcotハニカムで同じライターである瀬尾順が担当した「春季限定ポコ・ア・ポコ!」「あえて無視するキミとの未来~Relay Broadcast~」でも駄妹はいますが、いずれも義妹であり、妹と兄が恋愛して壁はあれどハッピーエンドという両作と、妹の独り立ちがメインテーマである本作との違いとも解釈できましょう。

実は、このゲームを妹の独り立ちのストーリーだと理解すると、一見奇妙で異様だった新聞部の温かさ、学園生活の冷たさが説得力を以て立ち現れてきます。悠も主人公であるイズミも、学園生活からは排除されており、唯一の受け皿が新聞部となっているわけです。「社会」との接点と言い換えても良いかもしれません。ところが悠のルートではいよいよそうした社会との接点すら乏しいモノとなり、イズミと悠二人きりで家の中に閉じこもってしまいます。その「繭」をこじ開けるキーとなったのが新聞部であり、路上ライブをやってたお姉さん方なのです。特に後者は唯一本当の社会との接点となっていたネットでの悠の配信を知っていた、ネットとリアルの架け橋であるべき存在です。だからこそ、悠のルートの最後で、兄が居ないと歌えないとぐずってしまう悠を瑠璃はやや乱暴ですが「一人でも歌いなさい」と諭すのです。ここで悠は既に兄イズミの助力を借りなくても、ひとりで社会で生きていけるような存在へと「羽化」したと言えます。

ゲームが終わって暫く、この新聞部の優しさが余りにも異様で、勿論ここは進めやすい箇所だったのですが、同時に違和感を持たざるを得ない箇所でした。しかし、プレイしてから約二週間、ボンヤリと考えていると、これも道理なのかなと思えるようになってきました。

なお、このゲームいくつか「春季限定ポコ・ア・ポコ!」や「あえて無視するキミとの未来~Relay Broadcast~」からのネタの引用などもありますが、分かっていなくても充分プレイできます。他方で、これが悠の独り立ちを描いたシナリオなのだと理解できないと、「なんだこれは」と思って終わってしまうでしょうね。主題を理解できるかどうかがゲームを楽しめる分水嶺で、しかもその主題の為に他のヒロインにある種当て馬的な役割をあてがっているって言うのは、いくらミドルプライス作品とはいえやや博打な印象もあります。しかし、なればこそ、このゲームは面白かったと自信を持って言えると思います。

シナリオ:30/30

【システム】
春季限定ポコ・ア・ポコ!やあえて無視するキミとの未来~Relay Broadcast~以来の極めて安定性に富み、機能も充実したシステムです。
全ルート完了後にタイトル画面が変わる演出も健在。
ただ修正パッチが1GB近いのはどうにかならないんでしょうか…(ALcotハニカムは結構大きめのパッチを発売日に出してることが多い印象はあるけれど)。

システム:10/10

【楽曲】
OP曲「Blue on Blue」、ED曲「悠久恋歌」共にRitaの歌唱による素晴らしい曲です。
BGMはトライノートによるもので、15曲用意されています。場面にそぐわないようなものはないと感じられました。

ところで、blue-on-blueって、軍事の用語なのですが、同士討ちという意味もあるようなのですね…。成魚になるためには弟を食べねばならないという所の連想でしょうか。

楽曲:20/20

【グラフィック】
重苦しい雰囲気が流れる本作ですが、SD絵などがそれらを和らげてくれます。非常に高品質なグラフィックが最初から最後まで貫徹されており、問題はないものと考えられます。
グラフィック:20/20

【声優陣】
配役は以下の通り(公式サイト記載分に限る)。ここも気になる点はありません。

白波瀬悠:くすはらゆい
新田瑠理:有栖川みや美
川嶋直:市川ひなこ
高階郁美:姫川あいり
御堂イヅナ:北見六花
豪徳寺清正:ますおかゆうじ
相羽司:水樹空

声優陣:20/20

【総評】
100/100
お勧め度:B

初の満点なのですが、同時にお勧めできるかというとかなり悩む箇所があります。ネタバレを避けて勧めるのはリスキーな印象のあるゲームです。丁寧にシナリオを読み込む必要はあるでしょうね。

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